はじめから
前回から
通りがかった女の人からいいにおいがして、ふらふら付いていってしまう。
それはうなぎ屋の前を通りがかったらいい匂いがしたのでつい入ってしまったことと似ていない。
うなぎ屋に入ることを決めるには、金銭的な余裕が必要だしタイミングも必要だ。
食事を済ませた直後に通りがかったって入ろうとは思わないだろう。
いいにおいの女性についていくことはうなぎ屋ほどの条件を求めない代わりに、結果として幸せな気分になる確立も低い。
今回はとくにそうだった。
エスカレーターで一段空けて彼女の後に続き、広く開いた彼女のうなじを見て感動したところまでは良かった。
産毛というほどの毛すら確認できず、真っ白でほどよくもちっとしたその質感はなかなかお目にかかれるものではなかった。
各フロアに着いてUターンする度に顔を見ようとしたが、うつむき加減の彼女の前髪がなかなかそれを許さなかった。
そんなことを何度か繰り返すうちに、かなり上の方まで来てしまってだんだん人気もなくなって来た。
それも八階で終点を迎え、短いストーカー気分を堪能したぼくは子供服を物色するフリをしながら最短距離ではない道のりで下りエスカレーターへ向かった。
そこでやっと母のプレゼント探しという本来の目的を思い出して、七階に降り立ってすぐフロアガイドを眺めていると後ろから肩を叩かれた。
続
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