2009/07/31

ファースト(仮) 6

はじめから
前回から



謎の女と出会ったことは確かに不気味で、気分の悪い出来事だった。
しかし今はそんな感触も薄れ、部屋で一人クイズ番組を見ている。
よく作られていると言えばそうだし、どうでもいいといえばそれまで。そんな番組だ。

久しぶりに実家に連絡をとってみようと思い立って気付くことがある。
実家に連絡をとってみようとするときは、大抵なんらかの不安があるときだ。
結局は家族が一番のよりどころなのだ。
そういう思いをわざわざ人に話したりすることはないが、素直に認めている。

そういえばあの女は家族がどうとか聞いていたな、とあの不気味さを思い出しそうになったので、すぐさま携帯を手に取り、電話帳から実家の番号を引き出し、発信ボタンをを押す。


……プー、というだけで繋がらない。
今は20時過ぎ。こんな時間に家に誰もいないというのは珍しいが、外食でもしているのだろう。
と、考えている間に携帯が震える。固定電話でも母は律儀に着信記録を見るのだ。
と、折りたたみ携帯を開くと実家からではないことがわかった。

「…はい」

「あ…元気?」

「うん。どうしたの」

「いや、ごめん。やっぱりまだ話し足りないと思って。こっちも別れることになるなんて全然考えてなかったしさ」

「うん」

「もう一回だけでも会えない?」

「……うん」

「…それって会ってくれるってこと?」

「………」

「………ごめん」

「何が?」

「別に。ごめんじゃないけど。いや、ごめん。ちょっとダメだ。またかけ直す」

「うん」

「じゃあ」

「はい」

ユカだった。
ぼくは都合の悪い問いにはつい黙ってしまう。きっと誰もそんなぼくを責めないだろうが、「きっと誰にも責められない」と思っている自分がちょっといやだ。
普段は人と違う特別な感じでありたいくせに、そういう周りの見えない常識とか優しさに甘えてしまうのがすごくいやだ。

ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ、ヴヴヴヴ


また携帯が震える。かけ直すとは言ったが、ずいぶん早い。
そう思いつつ、画面を見ると今度は知らない番号だった。
仕事の関係かもしれないと、何も考えずに通話ボタンを押した。

「はい」


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