はじめから
前回から
「もしもし、吉村さんでしょうか」
「はい」
「私、先ほど喫茶店でお話しさせていただいた者ですが」
ぼくは無言で携帯の電源ボタンを押す。
そのまま押し続け、画面が真っ暗になったのを見てベッドの上に投げ出した。
あの女の実際の目的はなんなのだろう。
ぼくの番号をどこからか探し出せるほどの人物だ。
逃げ切ることを考えるよりは、女の狙いを考えてひとまず納得する方が先のように思う。
宗教ではないと言っていた。
やはりセールス? そうだそうだ。
ぼくが勝手に違うと決めつけたんじゃないか。
きっとセールスだったのだ。なんだ、意外と早く納得できたぞ。
しかし、そうなってくるとどうやってぼくの番号を?
いや、番号だけならどこかの名簿の流出で説明できる。
問題は、ファーストコンタクトが地元の喫茶店だったということだ。
一体どうやって…
と、探偵気取りが少し楽しくなったところでインターフォンが鳴った。
考えることで恐怖から逃避できていたぼくは、改めて全身の毛が逆立つ。
あの女が、すぐそこまで来ている。
微動だにできない。
いつも通りの蛍光灯の光が疎ましい。
幸い、テレビの音はユカから電話があったときにミュートしたままだ。
……ユカ?
ユカ!
あいつか……あいつが腹いせにあの女を仕向けたに違いない!!
続
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