2009/08/03

ファースト(仮) 9

はじめから
前回から


早朝に目が覚めたことは覚えている。
二度寝を決め込んだときは、いつもの感じでいくと夕方に目が覚めるだろうな、とぼんやり思った。
それが意外と、今、10時過ぎ。4時間くらい眠った計算になる。
疲労感はない。むしろ目覚めはすっきりとして、久しぶりに気分のいい午前中だ。

この気分の良さを持続するのに今日は何かしてやろうと思う。

近所に落ち着くのはダメだ。
ありふれた休日の過ごし方だし、また謎の女につかまるかも知れない。そういえば携帯はどうなっているだろう。

……ユカからの着信が、2件あったらしい。
よろしい。突き止めたいこともあるし、二人の関係についてひっかかるところが残っているのも確かだ。彼女に会って、色々と清算しようじゃないか。
話し合いの場は困難そのものかも知れないが、きっとスッキリする。
それが気分の良い明日への第一歩だ。


というようなことを寝起きの数分で考え、顔を洗い歯ブラシを口につっこむ。
そのままテレビのスイッチを入れると、饒舌で教養ありげなお笑い芸人だった男がワイドショーの司会をしている。
彼によると、ぼくと年の変わらない親が幼い我が子のヌード写真を売りさばいていたらしい。

ヌード写真というといかにもだが、子供の頃のアルバムというのは大体ヌードを含んでいる。
家族も含めて他人の幼い頃の写真を見せられるとき、裸ん坊のページにぶち当たって、ほんの一瞬だけ変な空気が流れることはよくある。

あの「ほんの一瞬の変な空気」を形にして、売り物にしているなんて、かなりいやだ。
それを買って喜ぶやつがいるというのも、かなりいやだ。


うちの親はそんなんじゃなくて良かった。
昨晩はどこへ行っていたのだろう。
この時間なら間違いなく家にいるはずだとろくに動かさなかった歯ブラシを口から抜き、うがいをして実家に電話をかけた。


0 件のコメント:

コメントを投稿